フランクは、とても陽気な男だった。
しかし、時としてそれは、彼の友人を苛立たせる原因にもなった。
超楽天主義の彼の口癖は、いつもこうだ。
「でも、その程度で済んで良かったじゃないか!」
彼の友人達は、その楽天主義を何とか直そうとしたが、
どんな絶望的なシチュエーションを持ってしても、
結局、彼の口癖をくつがえす事を出来ないでいた。
そんなある日、フランクは友人とゴルフコースに出かけた。
その中の一人が、彼に絶望的なニュースを話し掛けた。
『おい、聞いたかい?トムのヤツ、昨日の晩、仕事から帰ったら、
奥さんと知らない男が、ベッドの中にいるのを見て逆上して、
二人を銃で撃った後、自分もその銃で自殺したらしいぜ』
フランクは、思わず両手で顔を覆って言った。
「オーマイゴッド、それはヒドい
でも、その程度で済んで良かったじゃないか!」
『何、何だって、フランク!!まだこれ以上、悪い状況があるってのか!』
驚いている友人を尻目に、フランクはニヤリと笑って返答した。
「いやね。もし、それがおとといの晩だったとしたら、死んでるのはオレなんだもん」
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